2018年5月27日日曜日

葬送

 この時期になると思い出します。

 ここからは遠く離れた場所で、海が近い街でした。家は全部流され、残された家屋というのは破壊され抉られ、砂塵が舞っていました。焼け爛れた郵便ポストであったりとか、またひん曲がったカーブミラーだとかがある通りを、絶えず喪服を着た人々が行き交い、その中で私は淡々粛々と、家屋を壊すために働きます。空気だけで、今日も人がたくさん死んだのだと分かります。

 数か月放置された冷蔵庫からは腐った臭いがして、海からは潮の強い臭いがして、それだけでもいやというほど死を感じるのだけれども、それだけでなくて、近くでは原発が爆発していました。

 情けない話ですが、車酔いと砂塵の吸入で吐き気がして、嘔吐を繰り返しました。