2015年11月25日水曜日

女児向けアニメの音楽に夢中になるおっさん

 女児に夢中になったら、そりゃちょっとヤバいけどね。いわゆるユーロビートっぽい、いかにもavexなトラックに、従来はメッセージ性の強力な旋律が乗っかってしまい、初音ミクが出現する2007年前後には、学者(鈴木謙介)から「ギャル演歌」と呼ばれてしまっていたのです。あるいは、リズムやビートが主体になって空気になっていくのだ、といわれていました。あるいはゴリ押しの上不発に終わったEDMに、電子音楽の限界を感じた方も多かったのではないでしょうか。イギリスのシーンでは、よほどK-POPの現地版の方がかくいいと認識されているし、聞けば聞くほど全くその通りです。

 ところが、伏兵というか、とんでもない解決の策は女児向けアニメにありました。まず、歌詞のメッセージ性が引っ込みます。全くないというわけではなくて、女児向けに、恋や、家族への感謝、強く生きる、などのJ-POP的なありきたりなメッセージ性を「建前だけ」残しながら、児童向けに受けを狙っているであろう繰り返しフレーズ(シュワシュワ、などの擬音を中心としたキャッチーなフレーズを何度も繰り返す)がそれらに優先するため、歌詞の持っていた強力なメッセージ性にとどめを刺しています。

 この、はなから大して旋律に乗せる以外に目的がない軽薄な歌詞が、さらに旋律、主要なメロディを演歌調メロディから解放します。その上、文法的にめちゃくちゃな、語感の良さだけを狙って日本語も怪しいような韓国人が入れたかのような英語詞が、演歌感あふれるヨナ抜きかペンタなメロディを完全破壊します。今度はK-POPフレーバーを「取り入れた」のでした。なんだか複雑すぎてよくわからないけれども、音楽性抜群でセンスもよく、成功しています。結果が全てだと思います。

 なぜこんなことになっているのでしょうか。別にストーリー性があるだとか、ゲームとタイアップしたからだ、ということではない気がします。ある頃、そろそろavexがダサく感じられてきて、SONYが昨今トラックの運転手の目覚まし代わりに有効利用されているようなうるさいギャル演歌をはじめて、おまけに購買層を犯罪者扱いしてレーベルゲートCDなんてものを出しまくってスパイウェアまで仕込んできて以降、メインストリームには確実に彼らではない横槍である「初音ミク」を含めたボーカロイドの流行、そしてK-POPのゴリ押しとその衰退がありました。新大久保がK-POP専門店に変わったと聞いています。今はもう韓国どころか中華街になりつつあるそうですが。ボーカロイドもさすがに閑散していると聞きます。too many people (do we understand!?) でしたから、フェス嫌いにはきっつい日々でしたね。

 一方で、avexは散々でした。主要アーティストはパッとしないし、作曲家は生活レベルが落とせずに詐欺に手を染めてしまい、K-POPは韓流の源流である右翼街宣車という反社を使ってきて、松浦氏が以前のアカウント消す前にボソッとツイートしたのが「この業界義理人情なんかないよ」。その後、松浦氏は私費を投じて作曲家を助けることになります(決して「安い」額ではなかったはずです)。YouTubeは儲からないし、ライブ回帰だってトラック主体の会社でどう東京の小規模ステージでライブするんだっていう話もあり、音楽は売れない。ただ、深夜アニメでこけつつも、そのサブカルへ寄り添う流れが、どういうわけか、主流にあった作家陣を含めて一気に「アーティスト」から「女児向けゲーム」に行ったようです。これが、諸々の影響全て引き連れて、音楽的にも大当たりしています。音楽は買わなくても、変な話ゲームにはお金をガンガン投入するので、結果的にこれで当たりでしょうね。私、今東京にいないし、事情よく知らないけれども。

 さらに権利関係も複雑になっていました。例えば、アーティストとしてはユニバーサルから、アニメCDとしてはエイベックスから、という具合です。これが、さらにK-POPなので、韓国語バージョンがあり、アニメも各国放送版があって、もうわけわかんないですね。で、音楽だけ聞こうとするとうまく情報が探せない、という。頭がこんがらがるのでもう二度と説明を試みません。事務やってる人どう捌いてるんだろう。

 いろいろ参考になります。メロディってよく分からないんですよね。自分はつい歌わせてしまいがちなのだけれども、古臭くなって「ギャル演歌」になるとき、原因は繰り返しフレーズを用いないのと、ついやってしまう「歌うためのメロディ」構成にあるような気がしてきたなあ。全てに優先して繰り返しフレーズがあってもいいのかも。正直、繰り返しフレーズとテーマがあったのに、それから蛸壺に落ちたときに、案外「呪いの眼鏡」をかけて周りを見ていたために、実際には自分は蛸壺なんかに落ちてなかったんじゃないかっていう本末転倒感があるけれども。

 なげーよ。