2016年2月5日金曜日

カセットテープの音をDAWに入れてMP3にしたのでぜひ聞いてみてください

  こちらでMP3が聴けます。

 流れとしては、「DAW→カセットデッキ→DAW→MP3」。ドルビーノイズリダクションはCとHX-Proです。

 多少整えたのだけれども(「先っちょだけ」)、コンプレッションが常識の範囲内でかかったことによって不安定さは多少和らいでいると感じられます。DAW通さないと、実際はひどいです。音は、太い!

 どういうことか少し解説させてください。不安定だと感じる要素は主に、「音量」と「音階(周波数・ピッチ)」のふたつが影響するのですが、テープ、つまりカセットデッキでの再生だけでは、コンプやリミッターは基本的にはかからず、また、メカニカルな部分が大きく再生音に関わるため、単体ではこれらの要素を補正できませんし、それをやってしまえば別の何かになってしまいます。だから、テープの音はそれ自体は不安定なのです。こういう不安定な要素を、ワウフラッターともいいます。そう、ワウですね。

 けれども、DAWソフト上で最適な音量に整えているうちに、極端な、つまり閾値に収まりきらない不快と判断されるような、補正すればなんとか凌げる要素が、閾値に収まったということです。むしろその範囲外の細かな揺らぎは、聞き応えになってきます。よく「奏者の息づかいが聞こえてくるようだ」といいますが、DTMとテープの息づかいが聞こえてくる演奏になったわけですね (適当)。

 DAWがLogic1万9千円、カセットデッキ3千円で小学生の頃に買った聴きまくって弛んだカセットテープで家にあったやつを使ってこのヴィンテージ感、演奏はジャズっぽく聞こえて高級感を演出しているけれども実はDTMで、おまけにミックスもマスタリングも(今回はたいして手を入れてないけれどもそれもプアオーディオってことで)全部自己完結という、これがプア界の熾烈な競争の結果生まれた独特の「クソさ」ですね。こうなると人によっては職人的に見えるようなので、普通に金払っていいオーディオ買ってください。

 USBでらくらく、というような製品は、導入前に注意が必要です。そういったものでほとんどの製品は、ハイポジや、ドルビーHX-PRO, B, Cノイズリダクションに対応していません。カセットデッキ自体は、ブームで一部価格が釣り上がっているものもありますが、12000円程度出せばSONYの「3ヘッド」カセットデッキでノイズリダクション対応の動作品が手に入ります。 それをオーディオインターフェイス経由で取り込み、それなりのDAWで処理する方法を強く推奨いたします。手軽で便利であれば、求めた通りの結果が出る、というのは、さすがに甘いです。結果を求めるために、最低限の知識は必要だと思う。

 「カセットテープは音が悪い!MP3より悪い!」という言説にも注意が必要です。両者は、全く別のものです。 比較対象が間違っています。

 とはいえ、電気屋にはまだカセットテープが売っているという昨今です。ぜひ遊んでみてはいかがでしょう。